黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「お待ちください！」

「え？」

「もし、あなたがまた眠り続けてしまったら！」

「あ…」

ウィル様のすがりつくような表情と握る手の力の強さで、私があの寝台で眠ることを恐れていることが分かった。

「やっとあなたと……こうしていられるのに…」

グッと手を引かれウィル様にきつく抱きしめられる。

「どれほど待ち望んでいたか！」

想いが伝わってきて胸が痛い。
こんなにも私を想ってくれる人なんて他にいない。

ウィル様の背中に手を回して私も抱きしめると、ウィル様がピクリと動き、顔を上げた。
青い海のような綺麗な瞳が揺れている。

「実桜様…？」

自覚した想いを伝えるにはまだ私の覚悟が足りない。
どうしても前世の記憶と、この世界では聖女であることが不安にさせる。

でもこれだけ…。

「長い間、私が目覚めるのを待っていてくれてありがとう」

胸の中に気持ちが溢れる。
ウィル様が好き。
でもどうしてこんなに不安になってしまうの…？
感情が込み上げて涙が流れた。

「実桜…様……」

流れる涙をウィル様が指で拭ってくれる。

ステンドグラスの窓から入る月明かりの中で、私達はしばらく抱きしめ合っていた。





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