黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「良かった…。これ以上あなたを怖がらせたくない。それに、あなたに嫌われたらと思うと臆病になっていました。扉の前でどう声を掛けるべきか悩んでいたのですが、時間が早過ぎることに気づき出直そうとしていました」

「え? フフッ!なんだかウィル様らしくないわね。時計を見なかったの?」

涙を拭いながらクスリと笑う。

「ええ。あなたのことしか考えていませんでした」

「私のことだけ…」

や、やっぱりウィル様らしいかも!
こんなことがサラッと言えちゃうんだもん!

「あまり眠れていないそうですね…実桜様」

「……ッ!」

私の名を呼ぶその声にもう胸がいっぱいになり、涙が零れてきて返事が上手くできない。

「実桜様? もしかして体調が悪くなったのでは?」

「……ッ…ううん!大、丈夫!」

「…そう、ですか」

きっと泣いていると分かってしまったと思うけれど、優しい声で答えてくれる。

「ネックレス受け取りました。…ありがとうございます」

「…うん」

「私の心は変わらずあなたに。愛しています、実桜様」

「ウィル様…!」

「また明日も会いにまいります」


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