黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
緊張しながら久し振りに訪れた神殿の庭園。
陽の光を浴びて花や草木がサワサワと風に揺られている。
「本当に人通りが少ないわ。というか、いない?」
この広い敷地の庭園で誰にも会わないなんて変じゃない?
「ミオ様、お身体は大丈夫ですか?」
「うん。本当に気持ちの良いお天気だし、気分転換ができたわ。シエナ様とのお散歩も楽しいわ」
しばらく歩くと前に見た時にはまだ蕾すらなかったお花がたくさん咲いていた。
「あ、この子はこんな色と形のお花だったんだ!ねぇ、シエナ様!」
私より少し背の高いシエナ様を見上げると、眉を寄せながら額に手を当てていた。
「ど、どうしたの?」
「いえ、ミオ様と腕を組んで歩けるなんてと幸せを噛みしめておりました」
「ええ? 私なんかと腕を組んでいるのに?」
「ミオ様は『私なんか』ではありませんわ。サクラの花に想いを込めて柔らかな風と共に王国中に届けてくれる心優しい聖女様。その想いは皆に伝わり、国民にも慕われていらっしゃいます。……私もそのひとりでございます」
「シエナ様…」
瞳を切なそうに細めて私を見て、頬にそっと手を添えた。
そして私の黒髪を一房手に取る。
「私はミオ様のことを……」
瞳を伏せて微笑んだ後、スッと私に跪いた。
「聖女ミオ様をいつまででもお守りいたします。私がミオ様から離れることはありません」
「……悪夢を見る回数が少なくなったのはシエナ様がいつも私を支えてくれるお陰でもあるのよ。本当にありがとう」
「もったいないお言葉でございます」
そして大きな桜の木がある丘へ向かうと人がいることに気づき、ピタリと足を止めた。
陽の光を浴びて花や草木がサワサワと風に揺られている。
「本当に人通りが少ないわ。というか、いない?」
この広い敷地の庭園で誰にも会わないなんて変じゃない?
「ミオ様、お身体は大丈夫ですか?」
「うん。本当に気持ちの良いお天気だし、気分転換ができたわ。シエナ様とのお散歩も楽しいわ」
しばらく歩くと前に見た時にはまだ蕾すらなかったお花がたくさん咲いていた。
「あ、この子はこんな色と形のお花だったんだ!ねぇ、シエナ様!」
私より少し背の高いシエナ様を見上げると、眉を寄せながら額に手を当てていた。
「ど、どうしたの?」
「いえ、ミオ様と腕を組んで歩けるなんてと幸せを噛みしめておりました」
「ええ? 私なんかと腕を組んでいるのに?」
「ミオ様は『私なんか』ではありませんわ。サクラの花に想いを込めて柔らかな風と共に王国中に届けてくれる心優しい聖女様。その想いは皆に伝わり、国民にも慕われていらっしゃいます。……私もそのひとりでございます」
「シエナ様…」
瞳を切なそうに細めて私を見て、頬にそっと手を添えた。
そして私の黒髪を一房手に取る。
「私はミオ様のことを……」
瞳を伏せて微笑んだ後、スッと私に跪いた。
「聖女ミオ様をいつまででもお守りいたします。私がミオ様から離れることはありません」
「……悪夢を見る回数が少なくなったのはシエナ様がいつも私を支えてくれるお陰でもあるのよ。本当にありがとう」
「もったいないお言葉でございます」
そして大きな桜の木がある丘へ向かうと人がいることに気づき、ピタリと足を止めた。