黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
丘の上から王国の街並みを見ると、桜の花が飛んでいたはずの場所も黒くなっていた。

「やっぱり…。アーロ様はどう思われますか?」

「ええ。ミオ様のおっしゃる通り、あの場所で実際にミオ様がお力を使われた方がよろしいかと。もしくは、ミオ様のお力はあの風土病には効果がないのか」

「そうですね…」

どうすれば…。
聖女としてこの王国にいるのに、何の役にも立たないなんて!
私は何の為にこの王国に来たの?

「あの…ところでアーロ様はなぜそんなに遠く離れた所にいらっしゃるのですか?」

聖女の間へと戻りながら不思議に思っていたことを聞いてみた。

「男性はミオ様から3メートルは離れろとウィリアム殿下より指示が出ております」

「え…3メートル?」

私が止まるとアーロ様も止まった。
離れ過ぎじゃない?

「私は仕事上2メートルでと指示が出ております」

「でもこんなに離れていたら、話ができないのでもう少し近くに…」

「いえ!これは私達の身を守る為でもありますので、お気になさらず!」

私の男性恐怖症が再発していることが心配なのは分かるけどウィル様ってば…。

「大変です!聖女様!」

「神官様達だわ」

数名の神官様が慌てた様子で私達の方へと近づいて来た。
でもアーロ様を見て同じようにウィル様の指示通り3メートル手前で止まる。

「神殿内の庭園も枯れ始め、範囲も徐々に拡がってきております!」

「すぐに行きます!」

私はシエナ様とアーロ様達と確認をしに向かった!


< 226 / 257 >

この作品をシェア

pagetop