黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「…本当だわ。普段ならこの一面には色とりどりのお花が咲いているのに、黒く変色して枯れているわ」
私の癒しの力は水晶だけではなく植物にも力を移せる。
そう考えると植物も治癒できそうなんだけど…。
掌に力を込めると、フワッと薄い膜のような物でパッと弾かれる感覚がした!
「あっ!」
キラキラと輝くこともなく、植物の状態は変わらなかった!
「……直接触れて力を込めてみます」
枯れた植物を包み込むようにして触れて力を込めてみたけど、何も変わらなかった。
「……そんなッ!」
力の違和感を感じて掌を見つめていると、この場にいる神官様達も心配そうな顔をして声を上げた。
「聖女様のお力が効かないとは!?」
「……もう一度やってみます」
両手でさっきより力を込めたけれど結果は同じ。
「どうして!?」
「まぁ、そんなに大声で。はしたないですこと」
後ろから声が聞こえて振り向くと、フローレンス様がクスクスと笑いながら私達のことを見ていた。
「フローレンス様!」
「聖女様でしたか。どんな野蛮な方がお話をされているのかと思いましたわ」
「あ…」
「あら、でももう『聖女様』ではないのかしら? 風土病も治せないのですから。国民からも信用されていないではないの。だからウィリアム殿下は私の元へと来てくださっているのね!」
「え?」
「聖女ではないあなたは用済みなのよ。ウィリアム殿下の婚約者は私になるはずよ!連日我が屋敷に、私に会いにきてくださっているもの」
「ウィル様が?」
聖女じゃなければ用済み。
フローレンス様の言葉が重くのし掛かる。
ウィル様からも、この王国の人達からも必要とされない。
全身からザァッと血の気が引いた。
「ああ、その馴れ馴れしい呼び方も改めた方がよろしくてよ。聖女ではないあなたはあの方に愛されないのよ!」
「ッ!」
聖女でもないただの私ではやっぱり愛されない…?
「それはあなたよ」
ザッとシエナ様が私を庇うように前に立ち、私の横にはアーロ様が並んでいる。
私の癒しの力は水晶だけではなく植物にも力を移せる。
そう考えると植物も治癒できそうなんだけど…。
掌に力を込めると、フワッと薄い膜のような物でパッと弾かれる感覚がした!
「あっ!」
キラキラと輝くこともなく、植物の状態は変わらなかった!
「……直接触れて力を込めてみます」
枯れた植物を包み込むようにして触れて力を込めてみたけど、何も変わらなかった。
「……そんなッ!」
力の違和感を感じて掌を見つめていると、この場にいる神官様達も心配そうな顔をして声を上げた。
「聖女様のお力が効かないとは!?」
「……もう一度やってみます」
両手でさっきより力を込めたけれど結果は同じ。
「どうして!?」
「まぁ、そんなに大声で。はしたないですこと」
後ろから声が聞こえて振り向くと、フローレンス様がクスクスと笑いながら私達のことを見ていた。
「フローレンス様!」
「聖女様でしたか。どんな野蛮な方がお話をされているのかと思いましたわ」
「あ…」
「あら、でももう『聖女様』ではないのかしら? 風土病も治せないのですから。国民からも信用されていないではないの。だからウィリアム殿下は私の元へと来てくださっているのね!」
「え?」
「聖女ではないあなたは用済みなのよ。ウィリアム殿下の婚約者は私になるはずよ!連日我が屋敷に、私に会いにきてくださっているもの」
「ウィル様が?」
聖女じゃなければ用済み。
フローレンス様の言葉が重くのし掛かる。
ウィル様からも、この王国の人達からも必要とされない。
全身からザァッと血の気が引いた。
「ああ、その馴れ馴れしい呼び方も改めた方がよろしくてよ。聖女ではないあなたはあの方に愛されないのよ!」
「ッ!」
聖女でもないただの私ではやっぱり愛されない…?
「それはあなたよ」
ザッとシエナ様が私を庇うように前に立ち、私の横にはアーロ様が並んでいる。