黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
私の顔を二人にじっと見られている。

「これはあまり当てはまらないわね…」

「そうですわね、お母様。どちらかと言うと腹黒…? 胡散臭い?」

ひどい言われようだな。

「でもミオ様に一途な人というのはお兄様以外にいらっしゃいませんわ!!」

やはりミオ様の話か。

「……二人共、そろそろ説明をしてください」

ミオ様との話を詳しく聞いた。

まずは目覚められたばかりのミオ様に対してはもっと配慮が必要だった。
10年間眠っていたと聞くと当然気になってしまう問題だ。
しかもミオ様を泣かせてしまった。
先程ミオ様に謝罪した時は許していただけたが、憧れ続けた聖女様が目覚めた嬉しさでそこまで配慮できなかった自分を反省する。
母上にも注意されてしまった。

この国を出て行く?
そんなことは何があっても阻止する。
これからもエーデル王国で暮らしていただく為に、この王国の素晴らしさをもっとお伝えしなくては。

そうなるとこの先必ず出てくるのが結婚問題だ。
私をと勧めた二人には何を先走っているのかと思ったが、ミオ様の好みを聞けたことは誉めてやりたい。
しかし…。

「ミオ様が以前憧れていた人が……」

「そうなのよ!どうしましょう!」

心配そうに私の片手を握るソフィー。
もう片方の手でソフィーの手を握りニコリと微笑んで安心させる。

「私は筋肉が付きにくい体質だが、身体は十分に鍛えている。それこそミオ様をお守りする為。これからは毎日の鍛練の時間をもっと増やし、髪型は変える。そして二人が言う通りにミオ様を想う気持ちは誰にも負けない」

私程ミオ様を想う者は他にいるはずがない!

「それでこそお兄様ですわ!先程のお二人は共に白い婚礼衣装に身を包み、美しい花嫁を抱き上げているように見えましたわ!絶対に私のお姉様になっていただきたいわ!」

笑顔で私の手を握り返してくるソフィーに頷いて返事をする。

「爽やかさ…」

確かに私には欠けている部分だと苦笑する。
流石身内には分かってしまっている。
だが、それもミオ様を手に入れるべく小さな頃から行動をしていたが故に。
そつなく、隙を作らず完璧な王子を貫き努力してきた。
『黒髪の聖女様』を伴侶にする為に、周りに何も言わせないように。

< 37 / 257 >

この作品をシェア

pagetop