黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「この王国のお花はキラキラしていて綺麗ね。ねぇシエナ様」
また今日もキラキラと花びらが輝き、風に乗って流れていく。
「本当ですね」
「え? ウィル様?」
振り向くと今日も美しいウィル様が近くにいた。
「ミオ様も『サクラ』の花がお好きなのですね」
「桜!?」
「ええ。あの花の大木です。前聖女のシノ様がエーデル王国に苗木を一緒に持って降りて来られたそうです」
「やっぱり桜だったんだ!苗木を持って降りて来られた?」
「忘れたくない思い入れのある物を一緒に持ってこの王国に来られる聖女様が多いようです」
「忘れたくない物を…」
「ええ。詩乃様はサクラをとても大切にされていたようです。そして詩乃様の聖女の水のお力により、サクラはあのような大木にまでなったそうです」
「……じゃあ私が忘れたくない程、思い入れのある物はお母さんのあの白いドレス?……まさか!そんな訳がない!」
あんな人のことなんてッ!
『お父さん!お母さん!どうして!』
『……離して!』
『もうおまえを愛せないんだ』
嫌な記憶が頭をよぎり、額を掌で覆う。
あの人達のことを思い出す。
生まれ変わったなら、どうしてこの記憶は消してくれなかったの!?
「ミオ様! 大丈夫ですか!?」
拳を握りしめて俯いてしまった私にウィル様が心配そうな顔で声を掛けてくれてハッとする。
「あ、いえ何でも…」
「……お疲れになられましたか? では私とお茶でもいかがでしょうか?」
スッと差し出されたウィル様の掌に自分の手を乗せると優しく微笑んで私を立たせてくれた。
「ウィル様…」
その優しく包み込んでくれるような微笑みにホッとする。
「今日は母上がお気に入りの菓子を取り寄せたようで、ぜひミオ様と一緒にと言っておりました」
「王妃様のお気に入りのお菓子ですか!」
「ええ」
元々食べることが好きな私はこの国で初めて見る料理やお菓子、食材にも興味があり食事の時間を楽しみにしている。
「もちろんいただきます!」
シエナ様がお茶の用意をしてくれているそうなので、聖女の間へと向かっていると、小さな女の子が花壇の前で座っているのが見えた。
「ミオ様?」
私は女の子に近づいて声を掛けた。
また今日もキラキラと花びらが輝き、風に乗って流れていく。
「本当ですね」
「え? ウィル様?」
振り向くと今日も美しいウィル様が近くにいた。
「ミオ様も『サクラ』の花がお好きなのですね」
「桜!?」
「ええ。あの花の大木です。前聖女のシノ様がエーデル王国に苗木を一緒に持って降りて来られたそうです」
「やっぱり桜だったんだ!苗木を持って降りて来られた?」
「忘れたくない思い入れのある物を一緒に持ってこの王国に来られる聖女様が多いようです」
「忘れたくない物を…」
「ええ。詩乃様はサクラをとても大切にされていたようです。そして詩乃様の聖女の水のお力により、サクラはあのような大木にまでなったそうです」
「……じゃあ私が忘れたくない程、思い入れのある物はお母さんのあの白いドレス?……まさか!そんな訳がない!」
あんな人のことなんてッ!
『お父さん!お母さん!どうして!』
『……離して!』
『もうおまえを愛せないんだ』
嫌な記憶が頭をよぎり、額を掌で覆う。
あの人達のことを思い出す。
生まれ変わったなら、どうしてこの記憶は消してくれなかったの!?
「ミオ様! 大丈夫ですか!?」
拳を握りしめて俯いてしまった私にウィル様が心配そうな顔で声を掛けてくれてハッとする。
「あ、いえ何でも…」
「……お疲れになられましたか? では私とお茶でもいかがでしょうか?」
スッと差し出されたウィル様の掌に自分の手を乗せると優しく微笑んで私を立たせてくれた。
「ウィル様…」
その優しく包み込んでくれるような微笑みにホッとする。
「今日は母上がお気に入りの菓子を取り寄せたようで、ぜひミオ様と一緒にと言っておりました」
「王妃様のお気に入りのお菓子ですか!」
「ええ」
元々食べることが好きな私はこの国で初めて見る料理やお菓子、食材にも興味があり食事の時間を楽しみにしている。
「もちろんいただきます!」
シエナ様がお茶の用意をしてくれているそうなので、聖女の間へと向かっていると、小さな女の子が花壇の前で座っているのが見えた。
「ミオ様?」
私は女の子に近づいて声を掛けた。