黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
執務室で書類を確認し、バサリと紙の束を机の上に置く。
「…最近は特に増えていないか?」
国内外から届く私への縁談に関する書類を、私の側近であるハリーが受け取る。
「ええ、そうですね」
この王国の宰相の息子であるハリーは眼鏡の奥の瞳を細めて苦笑している。
「ではこちらはいつも通りに返事をしておきます」
「ああ、頼む」
「ウィリアム殿下の婚約者になりたいご令嬢はたくさんいらっしゃいますからね。今では一体誰があの麗しいウィリアム殿下のお心を射止めるのかと注目されています。ご年齢的にもそろそろ決められるだろうと」
「我が王国は聖女様の加護があり、近隣諸国の中でも希少な国だ。関係性を深めたいと考えている国も多いしな」
「まだ婚約もされていないウィリアム様には、これからもたくさんのお話が届くことでしょうね」
「私の心を占めるのはただおひとりだ」
「なら早くその想いをお伝えになられたらどうですか? ご婚約者様になっていただければ、この書類も来なくなりますし、私の仕事も少なくなります」
ハリーは分厚い紙の束を微笑みながらまとめて持つ。
「ミオ様は目覚められたばかり。ここでの生活にも馴染めていないんだ。まだ早い」
「…最近は特に増えていないか?」
国内外から届く私への縁談に関する書類を、私の側近であるハリーが受け取る。
「ええ、そうですね」
この王国の宰相の息子であるハリーは眼鏡の奥の瞳を細めて苦笑している。
「ではこちらはいつも通りに返事をしておきます」
「ああ、頼む」
「ウィリアム殿下の婚約者になりたいご令嬢はたくさんいらっしゃいますからね。今では一体誰があの麗しいウィリアム殿下のお心を射止めるのかと注目されています。ご年齢的にもそろそろ決められるだろうと」
「我が王国は聖女様の加護があり、近隣諸国の中でも希少な国だ。関係性を深めたいと考えている国も多いしな」
「まだ婚約もされていないウィリアム様には、これからもたくさんのお話が届くことでしょうね」
「私の心を占めるのはただおひとりだ」
「なら早くその想いをお伝えになられたらどうですか? ご婚約者様になっていただければ、この書類も来なくなりますし、私の仕事も少なくなります」
ハリーは分厚い紙の束を微笑みながらまとめて持つ。
「ミオ様は目覚められたばかり。ここでの生活にも馴染めていないんだ。まだ早い」