黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「うぅ!難しい!」

「いえ!随分と上達されましたよ、ミオ様!」

今は聖女の力の練習中だ。
慣れないうちは必要以上の力を込め過ぎて倒れたりしていたが、強弱のコントロールの仕方が分かってきた。
力を制御できないと自分にかなりの負担が掛かってしまうし、いざという時に力が使えないと困るので日々練習をしている。

そして、この王国でしか採れないという水晶に聖女の力を込めて各神殿に運び、遠方の人々にも聖女の力を活用してもらうこともできるそうだ。
その水晶を神殿に置いておくだけでも聖女の加護があるみたい。

これらは全部神殿に勤めている神殿長やアーロ様が教えてくれた。
特にアーロ様は歴代の聖女様に詳しいだけあっていろいろと教えてくれる。
……とても嬉しそうな笑顔で。

詳しいというか、彼は聖女オタクだった。
歴代の聖女様では珍しい力を合わせ持つ私の『治癒』と『風』の力についてかなり興味があるようで、新しく分かってきたことを嬉々としてメモをとっている。

歴代の聖女様達が行っていた練習方法や力の応用も詳しく教えてくれるから助かってはいるけど、興奮している時は距離感がなくなりちょっと怖いかも。

「ミ、ミオ様!先程はどうされましたか? 光がいつもと違うような!?」

「え!? そうでしたか? ち、ちょっと近い!目が怖い…」

顔の前で両手を広げていると、シエナ様が後ろからアーロ様の紺色のローブを引っ張ってくれた。

「落ち着いてください!」

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