黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「さぁ、ミオ様。そろそろ休憩にしませんか? 無理をするとまた倒れてしまいますよ。母上が菓子を取り寄せたようなのでぜひ」

「王妃様からお菓子ですか!わぁ!嬉しいです」

王妃様はいつも美味しいお菓子を差し入れしてくれて、ウィル様とお茶をしてねと言ってくれるのだ。

「先日は海沿いの街のリーラ地方の特産フルーツを使ったケーキでしたよね!酸味と甘味が絶妙でした。あの海も近くで見たいしリーラ地方に行きたいです!それに王妃様にお借りした歴史の本が興味深い内容で夢中で読んでしまいました!」

「フフッ。この王国の海は美しさで有名ですよ。私がご案内いたしますので今度一緒に行きましょう。今日はまた違う菓子らしいですよ。さぁ、こちらへどうぞ」

ウィル様がお茶の席へとエスコートしてくれた。


「リックがここにいないのは、ウィリアム殿下の嫉妬ですけどね。いやぁ、私達は細身で助かりましたね」

ウィリアムとミオが席に座り、楽しそうに話をしているのを見ながらハリーは苦笑する。

「ここ最近のウィリアム殿下のリックに向ける目は鋭いものがありましたよね。あと、王妃様からさりげなく王妃教育を受けていると知らずにいるミオ様がいつ気がつくのか…。黙って見ているのは申し訳ない気持ちになりますね。ミオ様は勉強熱心なお方でいらっしゃるので自らも我が王国について学んでくださっているというのに」

アーロも苦笑している。

「ええ。ですが、ミオ様にはウィリアム殿下の長年の想いを受けとめてほしいものですね。この王国の為にも」

「そうですね。しかし、ミオ様も手強そうですよ。ウィリアム殿下の気持ちにも全く気づいていないですし、小さな子供を見ているような温かい眼差しがまた…」

「なかなか面白いお方ですね。すでに翻弄されていますよ。あのウィリアム殿下がどうされるのか見物ですね。最近は王宮や神殿でもすでに噂にもなりつつありますよ。ウィリアム殿下と一緒にいる女性は誰なのかと」

ウィリアムが子供の頃からの付き合いのあるこの二人は、ウィリアムの兄のような存在だ。
そんな可愛い弟の一途な恋の行方を見守る兄達だった。

< 73 / 257 >

この作品をシェア

pagetop