黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
やがてゆっくりと光は小さくなり、水晶がキラキラと輝く状態になった。
この中に私の力が入っている。
その色はまるでこの王国の海のように透き通るような青い色。

「……」

自分でやっておいてなんだけど、聖女……すごい…。
思っていたよりも力が出たことに呆然とする。
水晶の前でポカンとしてしまった。

静まり返った人達がやがて声を上げ始め、拍手まで沸き起こった!

「せ、聖女様……ッ!」
「なんて神々しく綺麗な力なんだ!」
「素晴らしいッ!!」

とりあえず成功したことにホッと胸を撫で下ろす。
ウィル様の方を見ると練習の時以上の光を放ったことにウィル様も驚いていたようだが、私と目が合うと微笑んでくれた。
そして、国王様が手を上げると会場がまたシンと静かになる。

「各地域の神殿にも水晶を置き、聖なる加護を承ることで皆のことも見守ってくださる!」

さっきの水晶よりも小振りな水晶に私が力を込めて、それを神殿長様が各地域の神殿長様へと渡している。
見知らぬ男性は怖いので間に神殿長様が立ってくれている。
私はなんとか微笑みを続けていて……顔がひきつりそう!
でもこの後、まだ仕事が待っている!
配り終わると国王様がまた皆に伝える。

「この光輝く聖女ミオ様のお力により、エーデル王国はますます安泰である!!」

「ワァァーーーッ!!」

また歓声が沸き起こった!
そしてまたソフィー様とクロエ様が近くに来てくれた。
舞台の上を進み、手を振りながら歩く。

「ミオ様、素晴らしいお力でしたわ!ねぇ、クロエ!」

「ええ。感動いたしましたわ」

ソフィー様がこっそりと笑顔で話してくれて、私は少し屈んでクロエ様と3人で微笑み合う。
車椅子を押している侍女のエマ様も静かに微笑んでいる。
すると、私の青いベールが車椅子の車輪部分に巻き込まれた!

「えっ!?」

私の頭からベールが外れて一緒に纏めていた髪もほどけ、黒髪が風に靡いた。

「あ…!」

この会場にいる人達の視線が突き刺さり、シンと静かになった。
どうしよう!
私が黒髪だということが予定より早く国民の皆様に知られてしまった!

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