黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う

「……様！ミオ様ッ！私の声が聞こえますか！？」

ウィル様に両腕を掴まれてハッとした！
心配そうに私の顔を見ていて、私が気づくとホッとした表情をした。

「……あ…ウィル様」

そうだ、ここはエーデル王国。
あの家じゃない…。
でも会場にいる人達の恐怖する悲鳴と罵声が私を動けなくする。
やっぱりこの王国でも私は誰にも必要とされないの…？

その時、クロエ様が叫んだ！

「皆やめてーーーッ！！！」

そして、バッと私に背中を向けて庇うようにして両手を左右に広げて立っていた！
再びシンとする会場。
歩けないはずのクロエ様が立っていることに皆が驚いているようだ。

「皆様、聞いてください！私は聖女ミオ様のお力で自分で立ち上がることができ、こうして歩けるようになりました」

前を見ながら歩き始めたクロエ様。

「黒髪だから何だと言うのでしょう？ このエーデル王国の人々の為に、聖女様は水晶にお力を込めてくだった。あの綺麗な光を皆様は見たはずです。素晴らしい聖女様です。黒髪であったとしてもミオ様がこの王国の為にお力を与えてくださる心優しいお方であることには変わりはありません」

コツ、コツとゆっくりと歩き、国民の皆様にクロエ様が想いを伝えている。

「枯れた植物に黒髪が似ているからと、黒髪の人々を恐れることはもうやめませんか？ 皆様と同じ優しい心を持つ同じ人としてこのエーデル王国で一緒に暮らしていけるように願います」