黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「嘘でしょ……」

前回よりも比ではない程に高い!!
会場が小さく見える!!
ペタリと平たい水晶に座り込んでいる私は固まったまま。
どうやら知らずに風の力の水晶の上に乗り、力を使ってしまったようだ。

「どうして? ベールが飛んだって思ったから私の力に水晶が反応したの?」

水晶に乗ってしまったことにも気づかないなんて!

「わぁ、遠くまで見える。本当に綺麗な海ねぇ。緑も豊かだし……やっぱり怖い!!」

現実逃避を試みたが無理だった!
ゆっくりと降りるように力を込めた。
前回みたいに失敗しませんように!!

するとキラキラと薄いピンク色が王国中に拡がるのが見えた!

「ええ!? 今度は何!?」

フワリと私の元へと飛んで来たのは桜の花びら。

「あ、桜を飛ばしちゃったのね。わぁ!」

風に乗ってどこまでも飛んで行く桜を眺める。
焦って癒しの力を使ったようだ。
王国中に届くかしら?
しばらくその景色を見ていたけれど、ハッと気づく。

「早く降りなきゃ!」

聖女の式典から聖女が抜け出したんだから!
またゆっくりと降りるように力を込めてみる。
グッと下降し始めて成功したと喜んだ!

「やったわ!そう、ゆっくりよ!練習を積んでいるんだから大丈夫な筈よ!」

焦って癒しの力を使ったばかりなのに、そんなことを言う私。
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