黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
私が怪我をしていないか、また倒れたりしないかと心配しているウィル様に私はお礼を伝えた。

「ウィル様、ありがとう」

ウィル様が不思議そうな顔をする。
さっきと逆ね。

「黒髪の人々や私のことを皆が受け入れてくれるように、この式典のことを考えてくださり、黒髪の私のことも日頃から庇ってくださり、ありがとうございました。……それに、私を嫌な記憶から呼び戻してくれたわ」

黒髪だと騒がれた時に、思い出した両親の嫌な記憶から抜け出せなくなってしまっていた。
そんな過去の記憶から私を呼び戻してくれたのはウィル様だ。

「ミオ様…」

「ウィル様のおかげで私はこのエーデル王国で暮らしていけそうです。でも考えてくれていた段取りを狂わせてしまってごめんなさい」

私は式典の予定がめちゃくちゃになってしまったことを謝った。

「いえ、それは私もですよ」

「え？」

ウィル様が私に向かって片膝をつき、真剣な顔をして私を見た。

会場が再びシンと静まり返った。
沈黙が続く中、私達は見つめ合ったまま。

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