黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「……ウィリアム様、本当に策士ですね」

少し離れた場所からミオを護衛しながら見ているシエナ。

「偶然だったとはいえ、その後もよく考えて行動していますからね。これも『愛する人の元へ真っ直ぐに戻る男』にしか見えませんよ。ミオ様がご心配なのでしょうが、式典に招いていた国外の要人の前で、そして大勢の国民の前であの宣言をしたウィリアム様がいるのに、今後ミオ様に国外からの縁談話も、国内で手を出そうとする者も現れませんよ」

ウィリアムとは別に王宮に戻って報告をしてから神殿へと来た側近のハリーは呆れ顔だ。

「ミオ様に会いたいというのもあるんでしょうけどね」

「リックも嬉しそうね」

「ええ」

「もう我慢しなくて済んで良かったですね」

護衛対象を守る為にキリッとした鋭い瞳はそのままだが、口元が少しだけ微笑ましい表情をしているリック。

「ウィリアム様の想いが通じて良かったですよ」

「……通じたのか?あれは?」

ハリーは首を傾げて楽しそうなウィリアムを見た。


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