14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「ここのあんかけ、すぐに食べたくなっちゃうんですよね。私たち好きなものがほぼ同じですね」
 愛華さんの食の好みが常々似ていると思っていたが、彼女もそう思っていたのね。
「これから寒くなるから、頻繁に食べたくなるわね」
「ですね」
 ふーっと冷ましながら食べ始めた。

「おつかれさま」
 その声にパソコンから顔を上げると、総務課の入り口に西島部長が立っている。
 隣の愛華さんが立ち上がり「おつかれさまです」と言っている。
「これ、取引先からいただいたんだ。たくさんあるからどうぞ」
 箱を開いて中が見えるようにして愛華さんに渡している。
「西島部長、わぁ、人気パティスリーのレモンケーキじゃないですか! これ並ばないと買えないんですよ。紬希さん、見てください」
「喜んでもらえてうれしいよ」
 愛華さんが菓子折りの箱を私に見せる。
「秋葉さん、さっきはありがとう。君も食べてね」
「ごちそうさまです」
西島部長は笑顔で言うとその場を立ち去った。
「レモンケーキうれしいですね。配って来ますね」
 彼女は私にレモンケーキをひとつ手渡してから、みんなに配り始めた。

 帰宅して昨日の余ったご飯でチャーハンを作る。外食やコンビニ弁当に助けられているが、やはり自炊の料理を食べたくなる。
 食事する前にスマホを開いてみるが、大和さんからのメッセージはない。
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