14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「この格好では相応しくないかと……」

「何も言われていないし、薄暗いんだから問題ない」

 大和さんにオーダーは任せて、レストランの雰囲気を楽しむ。大和さんと出掛けるようになってから、このようなレストランで食事をするようになったが、恋人のフリをしなくても良くなったらそんな機会もなくなる。

 そうだ。帰国したら話があると言っていたんだわ。

 彼がオーダーを済ませ、ノンアルコールのシャンパンのボトルが運ばれてきてフルートグラスに注がれる。
 続いて美しく盛り付けられた前菜が目の前に置かれた。

「おつかれ」

 大和さんはフルートグラスを軽く掲げて口へ運ぶ。

「おつかれさまです」

 私も綺麗な淡いゴールド色の液体ひと口飲む。

「明日は空いているか?」

「え……? 今日話があるのかと……」

「紬希が考えている話って?」

「……お役御免になるのかな」

 すると、大和さんは端整な顔に苦笑いを浮かべて、もうひと口シャンパンを喉に流す。

「紬希はそれでいい?」

「……大和さん?」

 どういう意味なの?

「この話は明日にしよう。今日は大変だったんだ。何も考えずに料理を楽しもう。空いていると思って良いんだよな?」
 持ち越しの方が、神経が休まらないのに。だけど、彼は今日話をしないつもりだ。どういうことなのだろう……?

 明日になればわかる。
 今日はこの贅沢な料理を楽しめばいいかと、納得させる。
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