14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「空いています」

「十時に迎えに行く。ほら、食べて」

 大和さんはナイフとフォークを手にして、キャビアが添えられたホタテとアボカドの前菜を食べ始めた。



 自宅の玄関のドアを開けて戸締りすると、思わずため息が漏れた。

 たった今、送ってもらって別れたところだ。

 どうして私、ため息ついているんだろう……。

 キスされなかったから?

 今日は西島部長の件もあったから精神的に疲れているだけよ。

 大和さんが西島部長の言い訳を受け入れていたらどうしていただろう。こんな冷静な気持ちになっていなかったはず。

 平常心なのは西島部長の嘘を信じずに、味方になってくれた大和さんのおかげだ。
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