14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「スポーツは俺に敵うやつがいなかったから、やる気がなかったんだよ」

「大和さんは近寄りがたくて、出会った時助けてくれるとは思ってみなかったもの」

「まあな。水道を止めようとしていた紬希を傍観していた。焦って逆回していただろう? 呆れて手伝いに行くしかないと思ったんだよ」

 濡れ鼠になった私を思い出したのか、大和さんはクックッと堪えるように笑った。

「最初のデート場所、遊園地だったのも納得ね」

「ああ。一度も訪れたことがないと聞いてうれしかった」

 あの時の約束が守れなかったことが悔やまれて仕方がない。けれど、遊園地へ行って住所を交換していたとしても、こんな風に今があるかはわからない。

「ごちそうさまでした」

 両手を合わせる。

 大和さんはとっくに食べ終わっている。

「コーヒー入れよう」

「マシンの使い方、教えてください」

 私たちは同時に立ち上がって、食べ終えた食器を持ってキッチンへ入った。

 コーヒーマシンの使い方を教えてもらって、まずは自分のカフェラテを入れる。メニューボタンを選ぶと、豆が挽かれる。少
ししてきめの細かいフォームミルク入りのカフェラテが出来上がった。

「これが引っ越したら毎日飲めるなんて幸せ」

「それくらいで幸せなのか?」

 大和さんはカップをセットしてブラックコーヒーのスイッチを押してから、顔を覗き込まれる。
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