14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「そ、それは、大和さんがそばにいてくれるのが前提って、話です」

 昨日までとは違う甘さ全開の大和さんなので、素直に口から出るが、やはり恥ずかしい。

「顔が赤い」

 からかいながらちゅっと唇にキスを落とされる。

 コーヒーマシンの音が静まり、ブラックコーヒーが入った。

「ソファへ行こう」

 大和さんは私を促したあと、棚を開けて四角い箱とカップを手にソファへやって来た。

「オーストラリアのクッキーだ。いくつかお土産を買ってきたから後で渡すよ」

 隣に腰を下ろした彼はクッキーの入った箱を開ける。

「オーストラリアへ行っていたのね。おいしそう。いただきます」

 チョコレートが挟まれたクッキーをひとつ手に取る。

「大和さんは甘いものが苦手なはず……私のために買ってきて……ええっ!? もしかして、私が焼いたクッキーも食べられなかったとか?」

 あの時、大和さんは一枚食べたのを覚えている。あとは家に帰って食べると言ったっけ。もしかして、私に気を使って一枚だけ食べたの?

「覚えていないか。見合いのあと、コーヒーショップで購入して車に乗ったときのこと。甘いものは苦手のくだりだ」
 そう言われて記憶をたどる。

『甘いものは苦手なんだ。唯一食べられるのがあったが、彼女がそれを作ってくれるかわからない』

「あ……もしかして私が作ったクッキーのこと?」
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