14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 私の指にはもったいないほどの大きなダイヤモンドだった。

 ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドの周りに、淡いピンク色のダイヤモンドがぐるっと縁取っている美しく贅沢すぎるエンゲージリングだった。

「大和さん、ありがとうございます。でも、このリングは宝石の最高峰の……」

 テーブルに置かれたエンゲージリングの箱を見遣る。

 彼の経済状況は大丈夫なのか。御曹司で専務取締役だからって心配になる。

「どうした?」

「色気のない話になりますが、こんなに高級なエンゲージリングの購入や、ここのマンションは……賃貸でも高いはずなので」

「心配?」

 からかうような声色で、覗き込まれる。

「そ、それはそうです」

「たしかに会社の給料だけでは無理だな。安心しろよ。投資で成功しているから紬希には不自由させない」

 このマンションも一括で支払い済みだという。

「びっくり……」

「大学では経営学部だったし、MBAも取得済みだ。老後も贅沢させてあげられる。投資大国で勉強させてもらったから、その点はニューヨークへ行って良かったと思っている。愛している女性に不自由をさせなくて済むからな」

「大和さん……、私はあなたがごく普通の会社員だとしても好きになっていたはずよ」

「そう言ってくれてうれしいよ」

 ちゅっとキスを落としてから、上唇を食まれる。

「今夜は泊っていってくれるだろう?」

 黒い瞳で甘く見つめられる。そんな風に誘われたら嫌なんて言えない。そんなことはまったく思っていないけれど。

 どんどん大和さんへの愛が大きくなっていく。

「じゃあ、お買い物に行って食材を買ってきましょう。お料理します。簡単なものしか作れないけれど」

「少し休んだら買い物へ行こう」

 同意した大和さんは私を膝の上に乗せて、甘やかに唇を塞いだ。
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