14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 考えてみれば、彼女が彼に居所を教えてくれたおかげで酷いことにならないで済んだのだ。このことはお礼を伝えたい。いずれは彼女にも調査が入ると思うので、話しておこうと思っている。

「愛華さん、今日のランチは私と行ける?」

「もちろんです」

 彼女は私の話を聞いてスッキリした顔でにっこり笑った。


 ランチ休憩に入り、近くの洋食レストランで熱々のグラタンを食べながら、西島部長のセクハラを愛華さんに話した。

 彼女は西島部長がそんな大胆な行動をとったことに驚いていた。聞けば、書類を渡した際に受け取ったとき手を触られるとか、お尻に何かが当たることがあったようだ。だが、偶然程度にしか思っていなかったと。

 西島部長の悪行が発覚したのは、忽那専務に私の居場所を教えてくれたおかげだとお礼を伝えた。

 そしてそれとなく忽那専務とは昔のよしみでロビーで会った以降、時々食事に行っていると話した。


 終業後、帰宅してようやく人心地がつけた。

 大和さんがかん口令を敷いたものの、同じフロアの女性社員に廊下やレストルームで会うと西島部長の件を話しかけられた。

 男性社員はさすがにセンシティブなことなので話しかけられないようだ。

 やはり経理課では手や肩、お尻を触れるのは頻繁だったようで、個々にミーティングルームに呼ばれ、忽那専務の男性秘書と話しやすいように秘書課の女性係長との面談があったと聞いた。
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