14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 そこで話さなければならないことを思い出して、大和さんの腕の中で向き直るが、無理な体勢で動いたのでバランスを崩してうしろに倒れそうになる。

「きゃっ!」

 大和さんの背中に回ったままの腕が段ボール箱にぶつかるのを回避して、その隣に倒れた。

「っ、痛くなかったか?」

 白木のフローリングだ。

 大和さんのとっさの判断でぜんぜん痛くない。
 私を助けた彼も一緒に倒れ込んで、顔が至近距離のところにある。

「大和さんっ、手は大丈夫!?」

 変な体勢にも関わらず、大和さんは体重をかけないようにしてくれている。

「これくらいで痛めないさ」

 背中にあった手を私の顔の横に移動させ、軽く唇を重ね合わせた。

 それから上体を起こしてくれる。

「そうだ、話そうと思っていたことが」

「どうした?」

「ご両親に挨拶する前に同居しても良かったのかなと……。すぐにでも挨拶に行った方がいいですよね」

「ああ。そのことだけど、父は今、母を連れた出張でヨーロッパを回っていて留守なんだ。仕事とプライベートで帰国は十二月に入ってからになる。話はしてあるから気にしないでいい。帰国したら会いに行こう」

「そうだったんですね」

 忽那家のご両親に挨拶をしなければならないと思いつつも、お会いするのはプレッシャーだった。

 でも先延ばしになっただけなので、いずれは顔を会わせなくてはならないので、それならば早い方が良い。
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