14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
十、彼に相応しい彼女
月曜日。
朝食は大和さんのリクエストのおにぎりとお味噌汁を作り、ダイニングテーブルで向かい合って食べている。
「おいしいよ。ありがとう」
彼は三つ目を豪快に口に入れている。
「ふふっ、出勤前にこんな風に食べられるのって幸せを感じます」
「俺もだ。今夜は遅くなるから夕食は要らないから。連絡するけれど、遅いようだったら先に寝てて」
「はい。ちゃんと夕食食べてね。ごちそうさまでした」
両手を合わせて食べ終わった大和さんの食器と重ねてから、シンクに運び手洗いを済ませて出社の準備をする。
大和さんもスーツの上着を羽織り、ビジネスバッグを持つ手にトレンチコートをかけている。
エレベーターに乗って一階と駐車場のあるB1を押す。
「なんで一階を押すんだ?」
「え? 私は電車で行きます」
「同じところへ行くんだから乗っていけばいい」
「え? でも……」
腕時計へ視線を落とすと、八時十分を回ったところだ。
一階に到着して扉が開くが、大和さんが閉のボタンを押して閉める。
「ちゃんと時間までには着くから」
婚約していることはまだ誰にも知られていないから、誰かに目撃されたら……と考えると困惑しているうちにB1に到着する。
「ほら行くぞ」
手を引かれてダークグリーンの美しい車に歩を進めた。
「おはようございます。愛華さん、早いね」
総務課へ入ると、いつもの出勤時間なのに愛華さんが出勤していた。