14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
【明日、フライトチケットを取るから来てほしい】

「な、何を言ってるの!?」

 思わず声が出る。
 そこへ手のひらのスマホの画面が切り替わり大和さんの名前が表示された。
 意味が分からないメッセージを送られては出ないわけにはいかない。
 仕方なく通話をタップした。

《わかったよな? こっちに来て説明してほしい。俺が納得できる理由を話して》

「ニューヨークなんて行けるわけないです。もうすぐお正月休みなのに、その前に休暇なんて取れません」

《俺が責任者に連絡を入れる》

「大和さんっ。そんな強引に!」

《一大事だ。重役の特権を使わずにいつ使う? 一方的に別れるじゃ納得できない。俺が何かしたのか? ちゃんと話し合おう》

「……」

 こんなに必死になってくれる彼は、私を本当に愛してくれているのかもしれない。あの写真は優里亜さんが細工したものだとしたら……。

 でも、彼女は大和さんのプラスになっても、私はマイナスにしかなれない。
 格差婚なんて、うまくいくわけがない。

《紬希? 有効なパスポートを持っているのは知っている。ニ年前に宮崎あやめとハワイへ行ったと言ったよな? そのときにパスポートを取得したとも》

 他愛ない会話で話したことを覚えている大和さんに、ぐうの音も出ない。

 この際ニューヨークへ行って、スッキリしよう。
 この写真を突きつけたら、大和さんも納得する。
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