14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「優里亜さんの話をしたときは目の前が真っ暗になって、ものすごく悩んだけれど、今は最高に幸せだから許せるわ」

 微笑んでから、ビールとトマトジュースで割ったレッドアイを口にする。

「俺はそう簡単に許せない。紬希を失いかけたんだ」

 不機嫌そうな顔になった大和さんのテーブルの上でグラスを持つ手に手を重ねる。

「失いかけたとしても、離さなかったはずでしょう?」

 重ねた手を、大きな手で握って口元へ持っていき唇が触れる。

「それは間違いない」

 ふっと笑みを漏らしてくれたので、機嫌が直ったようだ。

「もう帰らなくちゃならないなんて……あっという間だったわ」

 会社は一月四日からで、帰国日は前日になる。

「次回はハネムーンだな。紬希の行きたいところへ連れて行く」

「本当?」

「ああ。戻ったら忙しいからな。両親に合わせて紬希の誕生日に籍を入れる。結婚式場探しもあるし、夏までにはしたいよな」

「うん。やることがてんこ盛りね」

「紬希、愛してる。一生君を守ると誓うよ」

「大和さん……ありがとう。私も愛してる。こんなに幸せな気持ちにしてくれるのはあなただけ」

 首を伸ばして唇を重ねたその瞬間、どこかで打ち上げ花火が上がった。
 星が美しい夜空に上がる大輪の花のような花火にしばし見惚れる。

「花火を見たら、今夜を思い出すね」

「ああ。もっと思い出に残る夜にしよう」

「え?」

 椅子から立ち上がった大和さんは、私の膝の裏に腕を差し入れ抱き上げた。
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