14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「あなたもびしょ濡れ。大丈夫?」

「さっさと帰った方が良いよ。気温は高いけどもうすぐ日が暮れるから寒くなる」

「うん。そうする。ね、明日も来る?」

「たぶん」

「わかったっ! 明日ね! 助けてくれてありがとー」

 紬希は明るい笑顔で去って行った。



 翌日の放課後、公園へ行くと昨日俺が座っていたところに紬希がいた。

 つま先で地面に丸やバツを書いていた彼女はふと顔を上げて俺の姿を認めると、パッと明るい笑顔が咲いた。

「こんにちは!」

 紬希の第一印象はめちゃくちゃ明るい子だった。

「私、第二中学校の一年、秋葉紬希って言うの。あなたは?」

「教える必要ある?」

 一瞬、困惑してぶっきらぼうに言い放ったのを覚えている。

「だって、ずっと〝あなた〟って言われるより名前で呼ばれた方がいいでしょう? 私のことは紬希って呼んでね」

 たしかに〝あなた〟呼ばわりは嫌だな。って言うか、ずっとって、なんだよ。

「……溝口(みぞぐち)大和」

「大和君ね。その制服は第一中学よね? 私、道一本ずれていたら第一中学だったの」

 人懐っこく紬希は話しかけてくる。
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