14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「あの……こんな私より、忽那さんなら綺麗な女性を選べるのではないでしょうか? 先ほども言いましたが、私よりもご両親が納得する女性の方が良いと思います。恋人のフリをするよりも、これから結婚に向かってちゃんとお付き合いできる人がきっといるはずです」

「そんな女性がいたら、見合いなんてお膳立てされても断っていたよ」

「……」

 困惑して二の句が継げないでいると、信号が赤になって忽那さんは車を静かに停車させる。

 ふいに顔を向けられて、心臓がドキッと跳ねて落ち着かない気分に襲われる。

 彼がイケメン過ぎるから、反応してしまうのだ。

「で、どこに勤めているの? 自宅は? 送って行く。俺が考え直してお役御免だと思っているようだが、そうはいかない。君は俺を騙したんだからな」

「……その件は申し訳なかったと反省しています」

「乗り掛かった舟だろう? 俺が必要としているときに恋人のフリをしてくれればいい」

 麗しい笑みを浮かべた忽那さんは、信号が青になって車を発進させる。
 車は首都高速道路に乗った。

 どこへ向かっているのだろう……?

 それよりも、忽那さんの提案……提案という言葉は柔らかいが、脅し……? その件を今は考えなければならない。
 どうしよう……。
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