14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「彼女は今日、どこへ行くかご両親に知られたくなかったんです。それに忽那家と宮崎家ではかなりの力と言いますか、逆らえないと言いますか、とにかく差があるので、忽那さんから断ってほしかったんです」

 ふいに彼は手を伸ばして水の入ったグラスを手にして飲む。

 私の話が衝撃的だった?

「こんなバカなことを計画したお詫びはします。本当に申し訳ないと思っています。ここの食事代もお支払いします」
 あやめからバレたときの場合、支払うようにお金を渡されている。 

「困ったな」

 え? こ、困った……?

 当惑して忽那さんのバランスの取れた顔へ視線を向ける。

「見合いはもう何度あったか覚えていないくらいだ。両親の見合い攻撃がうっとおしいから、宮崎あやめに契約結婚をしてもらおうと思っていたんだが」

 あやめには駆け落ちしてもいいくらい愛している男性がいるから、忽那さんの考えは無理だろう。

「……」

「顔を突っ込んだ君にも責任があるよな?」

「……それは否定しません」

「ってことで、君が俺の恋人になってもらおう」

「ええっ!?」

 予想もしていなかった状況に素っ頓狂な声が漏れ、目の前のいたずらっ子みたいに瞳を輝かせ笑みを浮かべる忽那さんを食い入るように見つめた。
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