14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
自宅のある江東区の最寄り駅に到着し、駅前の小さな地元感たっぷりの洋菓子店であやめの好きなプリンを買うために立ち寄る。
彼女はここの硬めのプリンが大好きなので、ふたりなのに四つ購入して帰宅する。
駅から徒歩七分の五階建てワンルームマンションの三階に住んでおり、もう五年以上ひとり暮らしだ。
父が五年前に大阪へ転勤になったので母も付いて行き、都内の女子大学に在学中だった私はここに引っ越し、就職先も東京の会社を選んだので両親の元へは行かなかった。
この部屋には一口の電気コンロと、小さなシンクと冷蔵庫があるだけで、簡単な料理しかしていない。
していないと言うよりは、キッチン用品が最小限しか置いてないので、凝った料理は出来ない……ということに。
実家暮らしのときは母の料理の手伝いを時々していたし、料理サイトなので動画でちゃんと教えてくれるので、最近は作ってみようかなという気にもなるが、自分だけのためならどうでもいい気持ちになってしまい、手の込んだ料理は作れていない。
「プリンを冷やしておかなきゃ」
独り言ちて腰を屈め、小型の二ドア冷蔵庫の下を開けてプリンを入れる。
ポットに水を入れて沸かしているうちに、八畳の部屋をサッと掃除する。