14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
五、君を知りたい(大和Side)
紬希を遊園地に連れて行ったのは、実現できなかったあの時の約束を叶えたかったからだ。
彼女が過去の恋人とこの場所へ来たのか、俺は知りたかった。
話しの流れで、紬希は遊園地で遊んだことがないと言った。
ここへ来たことがないだけで、過去付き合った男と他の場所でデートをしていたかもしれないが、正直言ってうれしかった。
彼女は二十六歳なのだから、恋人のひとりやふたりいたかもしれない。今は自分を綺麗に見せないように偽っているが。
だが、この場所が初めてなのは、俺にとっていかに大事だったか思い知らされて、顔がにやけそうになった。
絶叫系のアトラクションはそれほど怖くないようで、乗っているとき紬希は所々身を縮こまらせていたが、悲鳴を上げて俺に頼るようなそぶりは見せなかった。
男としては少し物足りなく、苦笑いを浮かべるしかなかった。
遊園地に入ったときは、表情が硬かった彼女はだんだんと笑顔を見せるようになってきた。
そこで、恋人のフリをしているのだから苗字から名前を呼んだほうがいいと言う。