14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
月曜日の朝、紺のスーツに着替えダイニングルームへ下りると、義父が朝食を食べていた。
「大和、昨日は助かったよ。ありがとう」
ゴルフコンペの件だ。
「いえ。久しぶりのラウンドで汗を流して気分が良かったですよ。送迎車だったので、楽出来ました」
昨日のゴルフコンペは千葉県だった。運転は好きだが、経済界の重鎮たちとラウンドするのは神経が疲れ、送迎車で休めて良かった。
「有本頭取から昨晩電話をもらった。素晴らしいご子息だと褒めていたよ。わざと勝ちを譲ったんだろう?」
「父さんが穴を開けないよう俺に頼むくらいなので、メンバーの中で有本頭取が大事ではないのかと思いましたが、久しぶりだったので調子が良くなかっただけです」
「正直に言えばいいものを。君がアメリカのアマチュア大会に出ていると話していなかったから、有本頭取は若いのにとても上手だったと言っていたよ。次回も一緒に回りたいともな」
そこへ母が目玉焼きとサラダののった皿を運び、俺の目の前に置く。
通いの家政婦がいるが、掃除が主な仕事で食事は母が作っている。
「大和、おはよう。寛人はまだ起きないのね。起こしてくるわ」
顔を顰める母は、ダイニングルームを出て行った。
寛人が起きないのは毎日のことだ。隣の部屋の俺もドアをノックして声をかけるが、起きてこない。
俺が食事を食べ終わる頃、制服に着替えまだ眠そうな寛人が二階から下りてきた。