14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
まずは黒縁眼鏡を外してもどうってことなかったので、髪形を変えることにも抵抗がなくなった。
しかし、ヘアサロンなんて久しぶりすぎてどこがいいのかわからず、あやめに電話して聞いてみる。ヘアサロンへ行きたいだなんてどうしたの?と興味津々で聞かれつつも、彼女の担当しているヘアディレクターを紹介してくれた。
あやめの紹介のおかげで混んでいたが十四時三十分の予約が出来て、キラキラしたおしゃれなヘアサロンへ足を運んだ。
ヘアディレクターに「綺麗な黒髪ですね」と褒めてもらったが、それでも枝毛で痛んでおり、肩甲骨より少し短い長さに揃えてもらい、髪色をワントーン明るくしてもらった。
長くなっていた前髪も切り、顔の周りの毛はレイヤーを入れてもらい軽くなり、鏡に映る私は表情が良く見え、明るい印象になった。
ヘアサロンを出て素敵なカフェがないかとスマホで検索しようとしたとき、あやめから電話がかかってきた。
『どうだった? イメチェン成功?』
「んー、だいぶ変わったかも」
『見たいわね。ね、五時から下北のライブハウスでテツヤたち若手のライブがあるんだけど来ない?』
「五時って、あと一時間しかないじゃない」
『表参道からなら電車で十分くらいよ。用がないなら来てよ』
「……うん。じゃあ、これから行く」
大和さんからの連絡はないし、今週末はお役御免なのだろう。
『OK~駅で待ち合わせしましょう』
電話を終わらせ、スマホをジャケットのポケットにしまい、表参道の駅に向かって歩き出した。