14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 二十分後、下北沢の駅の改札で待っていると、すぐにあやめが町の方から現れた。

「待たせちゃった?」

「ううん。着いて間もないわ」

「まだ時間あるわね。そこのコーヒーショップに入りましょうよ」

 彼女はすぐ近くのコーヒーショップに歩を進め、カウンターでカフェオレをふたつ頼み、ふたり掛けの丸テーブルに着く。

「そんなにのんびりしていていいの?」

「今日のテツヤたちの出番は六時過ぎって言っていたから」

「イメチェンしたんだけど、感想は何もなし?」

 あやめはイメチェンした私を見たいと言ったのに、スルーされてしまったので聞いてみる。

 そう言ってみると、彼女はふふっと口元を緩ませる。

「だって、二年前と変わらないんだもの。元に戻ったって感じね」

「え……二年前と変わってない?」

 自分自身、だいぶ変わったと思っていたのに。

「ぜんぜん。でも、綺麗だし、良い感じよ。若手芸人に誘われないように気をつけてね」

 あやめはカフェオレの入ったカップを口にし、私も同じく飲む。

「で、頑なに地味子をしていたのに、どういった心境で? やっぱり忽那さんが好きになった?」

 突としての質問に、カフェオレが気管に入りそうになった。ゴクンと飲み込み、大きく息をつく。

「……まだ好きなのかわからないけど、好感度は高いわ。一緒にいると以前の自分に戻れるし、楽しいの」
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