【コミカライズ決定】転生もふもふ令嬢のまったり領地改革記 ークールなお義兄様とあまあまスローライフを楽しんでいますー
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ルネが我が輩の神殿に現れたのは、夏の終わりの頃だった。
大雨とともに決壊した川、同時に現れたモンスターによって、川沿いの村は蹂躙され犠牲者が出た。
ルネはその生き残りだった。
必死に逃げてきたルネは、我が輩の神殿の供物を盗んで食べ、なんとか命を繋いでいる状況だった。
自暴自棄になってもよい、そんな中でもこの娘は違った。
『ライネケ様、ごめんなさい。今日もごはんを食べさせてください』
供物を拝借する前に、思い詰めた顔でそう謝り、自分が食べる分を少しだけ持って行く。
いただきます・ごちそうさまも忘れない。
ルネが我が輩に感謝るたび、我が輩に彼女の信仰心が流れ込んでくる。
人間の信仰心は、精霊に力を与える。
我が輩を信じるものは救われるのだ。
ルネの信仰心は欲がなく、清らかで、強く美しいものだった。
ルネによって力を得た我が輩は、なんとか彼女を救ってやりたい、そう思ったのだ。
だから、リアムに引き合わせ、ルーナル侯爵家の養女となれるよう取り計らったのだ。
ルナール侯爵家と我が輩はゆかりが深い。
ルナール侯爵家と王家を、この土地に導いたのも我が輩だ。
我が輩と、光、闇が両家をサポートし生まれたのがこの国だからだ。