ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 私は今、須藤さんから説教されている。

 パイプベッドに座らされ、仁王立ちする須藤さんを見上げているが、両脇には日焼けした肌によく似合う蛍光ピンクのブリーフを履いただけのナイスバルクな先輩がいる。

 ――まるでAVの冒頭シーンのようだ。

「あのさ、女の後輩の前でパンイチってさ、セクハラどころじゃ済まねえだろ」

 ――私にとっては日常の景色です。

「加藤は気にしてませんよ」

 ――松永さんがいつもパンイチだから慣れただけです。

 中山さんはしょんぼりしている。
 慕っている須藤さんに叱られる時だけ中山さんのしょんぼり顔が見れるから、私はちょっとワクワクしている。
 だが松永さんはお兄ちゃんに口答えする弟のように好戦的だ。いつも双方がヒートアップして大惨事になるからある程度の所で私が止めなくてはならない。面倒くさい。

「俺が嫌なんだよ」
「だって加藤ですよ?」
「ああん? お前さ、後輩の女がこんな格好の男どもに囲まれても何にも思わないとか、その方が問題だろ」
「加藤以外にはやりませんよ。加藤なんだからいいじゃないですか」

 ――よくないよ。

< 209 / 257 >

この作品をシェア

pagetop