ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 昼過ぎまで寝ていた私はリビングへ行き、窓の外を見つめた。このところ雨続きだったが今日は珍しく晴れていて、雲一つない空が広がっている。ベランダでは洗濯物が風を受けて靡いている。
 そろそろ取り込むかと思っていると、手に持ったスマートフォンが鳴った。

 ――また岡島か。

 そう思ったが、画面に表示された文字は『ゴリラ』だった。

 ――あ、(ゆう)くんだ。

 すぐさま電話に出ると、相澤裕典は怒っていた。

「奈緒ちゃん! どうして岡島くんの電話に出ないの!?」
「嫌だから」
「もうっ! 奈緒ちゃんはいつもそうなんだから!」

 電話の向こうの相澤は頬を膨らませて怒っているのだろう。それを想像して口元が緩むが、続けた相澤の言葉に私の口角は下がった。

「岡島くんが飲みに行こうって!」

 またか。岡島はどうしてこうも挫けないのだろうか。

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