ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 私は岡島に、「似合ってるね、私の好みだよ」と言うと、岡島が急に私の右肘の上を掴んで引き寄せた。驚いて身動き取れないでいると、耳元で囁かれた。

「奈緒ちゃん、そういうの、俺、本気にしちゃうからやめておきなよ」

 ――バレてた。

 私は岡島の肩に手を置いて少し押し返して、「いつから分かってたの?」と聞くと、目を伏せた岡島は頬を緩ませて、左肘も掴んで、私を正面に向かせて言った。

「最初から。だって奈緒ちゃんが俺に『会いたい』なんて、天変地異の前触れかと思うよ」

 私は思わず吹き出してしまった。
 私は岡島の腕を解き、後退して岡島の顔を見た。そして、言った。

「バカなの?」

 その言葉に、岡島は嬉しそうに笑った。

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