視界に、火花が散る。
「アイスも買ってやるんだから我慢しろよ!」

「ぶー! 迅くんのケチっ! あ、夏月くんも行く~?」


頬を膨らませた唯が俺に聞く。

……唯、お前は女子になれるんじゃねぇか?


「行く。アイス奢ってくれんだろ?」

「おうっ! でもなぁ……夏月と一緒だとモテねぇんだよなぁ……」

「もとから迅くんはモテてないから安心しなよ」

「うぐっ」


唯の言葉に胸を押さえる迅。


「俺の心はもうボロボロだぜ……」

「きも」

「お前はさっきからうぜぇよッ」


こいつら、なんでいつも一緒にいるのかわかんなくなるときがあるんだよな……。


――ガラッ。


「あ、先生きた~」


先生が教室に入ってきて、唯が前を向く。

唯の切り替えが早いのはいつものこと。


「おーい岩崎(いわさき)早く席戻れー」

「せんせちょっとタンマ~! 俺の心は今ボロボロなんだッ!」

「だからなんだ。早く席に着け」

「先生の鬼畜!」

「なんとでも言え」
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