ノア様の愛のいじわる
ノア様は、近づきたい。
私たちが通う由緒正しき桜雅学園。
深い歴史ある伝統と、優雅な気品、国の未来を担う優秀な人材を育てる、全国屈指の名を馳せる学園。
"清く正しく美しく"。
全国的にも名の知れた、だれもが憧れる学園なのだ。
そんな桜雅学園には、昔から【皇帝】制度というものがある。
【皇帝】とは、優秀な成績、気品、人望、家柄という未来の国を先陣となって背負うであろうすべてを兼ね備えた、学園内で最も優れた者に与えられる座。
【皇帝】には明確な力は存在しないが、生徒は彼を崇拝し、敬い、そして畏れている。
学園内での【皇帝】の力は絶対であると囁かれ、彼に逆らうことは許されない。
【皇帝】は普通、3年生になると任されるのだけれど、今年は2年生である野愛が任命されている。
風の噂では、今年の3年生に【皇帝】にふさわしい人がいなかったことや、野愛が飛び抜けて優秀だったことが関係しているらしい。