ノア様の愛のいじわる
ノア様は、虐めたい。
「……ねえ、弥生くん」
「ん? どうしたの、花氷さん」
「わたし、野愛にぶち切れてもいいかな……?!」
「いやあ……まあまあ、花氷さん。いったん落ち着いて」
それが落ち着いていられるか……っ!
そう怒り散らかしたい気持ちをなんとか抑え、苦笑しながら弥生くんが引いてくれた椅子に座る。
「花氷さんが怒る気持ちもわかるよ。ノアも悪いよな」
「ううっ、そうだよね……? ほんっとに信じられない! みんなの【皇帝】のくせに!!」
大きな声で憤慨する。
優しい弥生くんが肯定してくれたおかげで、憤りに勢いがつく。
でもいまどれほど怒ったって、本人が目の前にいないんだから仕方ない。
そう思ったら、急に怒りも萎んでしまう。