終焉告げる金色の蝶と死想の少女
 明日から一週間学園には休み届けをだそう。学問には興味ないが、死と都市伝説の類(たぐい)なら楽園なのにと残念に思いつつ。



 少女はランプの灯ひとつしかない部屋の中儚く昏い歌を紡ぎながら、どこか愉しげにクローゼットを開く。ノスタルジックな香り漂うアンティークのトランクケースを取り出す、旅路にはやはり華を添えなければならない。


 特別な物語となるのだから。


 ほどよい大きさのトランクケースで、ちょっとした旅路にはこれがいいのだ。


 煌めきのない夜空を想わせるワンピース、道中読むための幻想物語、日記帳、透明水彩菓子、常備薬を詰め込む。



「明日はあの人に顔出しでもしようかしら。どんな顔で、出迎えてくれるのか楽しみね」



 寝間着のワンピースと朝露の薔薇の入浴剤を持って、少女は部屋を後にした。


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