終焉告げる金色の蝶と死想の少女
 翌日。少女は早朝から学園に向かった。


 きっといつものように、庭園の植物たちに水やりをしているだろう。その一時(ひととき)こそが、言葉を交わす約束であり休息という名の癒し――あの人との、秘密だ。


 門番に通交証を見せ、それからアルカナ庭園の方へ足を運ぶ。



 さながら童話の王子様風の少年に、少女は笑みを浮かべて挨拶をする。



「おはようございます。――希石(きせき)先輩」

「……月伽(げっか)か。“先輩”だなんて思ってないくせに」

「さすが先輩です」

「いや、褒めてねぇよ」

「容姿と口調、合ってませんよ」

「それは悪うございましたねお嬢様。で、今日は何用だ。それだけじゃねぇだろ」

「相変わらず察しがよろしいようで」



 お互い軽口を叩く。これでも褒めているつもりなのだが、あくまでも月伽はである。そんな仲になったのもまたとんでもない話だが、それはまた別の物語。

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