私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?
「君の顔を見れないだなんて俺は死んだも同然⋯ハッ、こんなに麗しく天使のような君がいる現実は最早死んでると言っても過言ではなぁぁぁあッ!!」

ぐしゃりという音が聞こえそうなくらいの勢いで床に倒れ込んだテオドールを、なんとも言えない表情でただ見るしか出来ない。


“⋯でも、それで実際足を運んでここにいるっていうならテオドールは本心から私の顔を見たかったって事⋯に、なるのかしら?”

もしかしたらこれは乙女として、そしてかつて彼に憧れていた令嬢の1人としてトキメくポイントなのかもしれない。

⋯が。

“彼の!挙動が!不審すぎて!!”


言い様のない残念な感情が湧き、私もテオドール同様に思わず頭を抱えてしまう。


そしてそんな時、落ち目ではあるものの一応王都に邸を構えていたお陰で昨晩送った手紙の返事が早速返ってきて。

私は藁をも掴むような気持ちでその手紙に飛び付いた。
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