私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?

3.つまり、そーいうことですか?

「て、テオドール!魔法薬を作った友人から対処法の返信です!」
「これでまた愛おしい君との逢瀬を楽しめるようになるということか⋯っ」
「え?楽しんでました?毒しか吐かれてませんが⋯」
「素直になれない俺ぅぉお、ぐぅっ、い、いい、から!は⋯やくっ」
「あっ、すみませんつい」


封を切る手が緊張で震える。

“どうか壊れた彼が戻りますように!”
もしくは声色と表情が台詞に寄りますように。

むしろそっちの方がいいかも。やっぱりそっちでお願いします。


⋯なんて思いつつかさりと開いた手紙。
彼もこの苦痛に耐えられなかったのか私の横から覗き込んできて。


「全量を飲んだことによる身体的副作用はなし、良かったですね、健康は守られていそうですよ」

そんな一文にまずはホッとする。

そしてそのまま次の行に目を滑らせた私は⋯

「⋯ただし、精神的干渉が多く飲んだ本人の願望を叶え本音と建前の擦り合わせが⋯必要⋯⋯?」

“本人の願望⋯ってことは、やっぱりこの垂れ流されてる甘い台詞自体は彼の本音って事なのかしら”

嫌そうな表情と声色のせいでかなり疑わしいが、本来これは『素直になる魔法薬』なのだ。
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