私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?
信じられなくても、そこは信じるしかないようでー⋯

「⋯で、この願望って何かしら?本音と建前の擦り合わせってことは、テオドールはその願望を我慢する為に本音を隠してツンツン振る舞ってたってことなの?」

確認しながら隣で覗き込む彼の顔を見上げると、一瞬早く彼が顔をスイッと背ける。

「とりあえずその願望を叶えなきゃいけないのでまずは教えて欲しいのですが?」

重ねて聞くが一切答えず必死に顔を見ないように素早く背を向けるテオドールに、なんだか苛立ってきて。

“こうなったら無理やりにでも顔を見てやるわ!本音が垂れ流しになったらおのずとその願望もわかるはずよ!”


必死にテオドールと目を合わせようと、彼の回りをぐるぐる回った私は先程まで彼がしがみつき顔を埋めていたサイドテーブルの脚に引っ掛かってしまう。

「きゃっ!?」
「なっ、クリスタ!?」
「⋯あっ」
「ぎゃっ!」

転けそうになった私を慌てて抱き抱えるようにし支えてくれたテオドールとバッチリと目が合い、彼が小さな叫びをあげる。

“チャンス!”

ハッとした私は、もう顔を背けられないように彼の両頬を鷲掴みししっかりと目を合わせ――

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