私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?
だからそもそも毒じゃない、という主張をする前に私から小瓶をひったくったテオドール様は、止める間もなく蓋を開けて。

「だ、ダメ⋯っ!!」

そのままグイッと一気飲みしてしまった。

“はぁ!?う、嘘でしょ!?”

思わず呆気に取られた私だったのだが⋯

「う、ぐ⋯っ」

がくりと膝をついたテオドールを見て一気に青ざめる。

“一滴と言われてたのに全部飲んじゃったの⋯!?なにか副作用が出るかもしれないわ”

魔法薬は用法・用量を守れば安全な代物。
だが、守らなければ体にどんな影響が出るかはわからない。


慌ててテオドールの横にしゃがみ、背中を擦ると少し冷や汗をかいているテオドールが目に入った。

“ま、まぁ飲んだのはあくまでも『素直になれる薬』だから大したことはないはずだけど⋯”

それでも苦しんでいる様子のテオドールに焦った私は、慌ててアニーに冷たい水を持ってくるように命じた。


「立てますか?せめて椅子に座って⋯私の肩に体重を⋯」
「これは、な、んの、薬⋯だ⋯っ!?毒じゃ、ない、な!?」
「苦しいですか!?」

息も絶え絶えに声を発するテオドール。
その様子が余りにも苦しそうで。
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