王家の影はポンコツ令嬢!はじめての任務で×××
「⋯こんな暴走しかできない妹のどこがお気に召したんだ⋯ディーデリック様は⋯」

同じく父と同じ色の兄も、父と同じように何故か項垂れ⋯

「⋯?今ディーデリック様と仰ったの?」
「流石のお前でも知っていた事に安堵すべきか、いっそ知らなければ断る最善が選べたと嘆くべきか⋯」
「もう!何をぶつぶつ仰られてますの!当然知っておりますわよ!!ディーデリック・ローランド侯爵令息、現宰相様のご子息ですッ!」

あぁ、本当に知っちゃってるかぁ、と倒れ込みそうな兄に怪訝な顔を向けていると、しぶしぶ父が話を続けた。


「この度、ディーデリック様が次期宰相に内定した」
「あら!それはそれは、おめでとうございますですのよっ!」
「あぁ、言葉遣いが⋯言葉遣いまでもが怪しい妹に⋯何故⋯」

項垂れる父の横でひたすら嘆く兄。
ここまで嘆くという事は何かあるのでは、と考えた私は、天才的な発想力で結論を導き出した。


“次期陛下になられる王太子殿下の影であるお兄様と、次期宰相になられるディーデリック様⋯つまりは同僚!!!”

「お兄様、もしかしてディーデリック様と⋯!」
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