王家の影はポンコツ令嬢!はじめての任務で×××

4.ここが本番というやつですのね!

「ふふ、今日こそ耐えきれるといいね?」
「前回と同じ失態をするつもりはありませんのことよ!?」
「今日は君のお披露目も兼ねてるから、ずうっと俺の側にいるんだよ?」

にこにこと笑うディーデリック様の隣に立つ私は、彼の瞳の色に合わせたグレーの刺繍が入ったドレスを身に纏い王城の扉の前に立っている。

相変わらず彼がずっと浮かべている笑顔は、周りを見る時とは違い私を見つめる時だけ温かさがある事に最近気が付き⋯
そして一度気付いてしまうと、その事実はいつも甘く私の心をくすぐっていた。



“はじめてディーデリック様と出る夜会⋯!”
名目としては王族主催の王太子になられた殿下の側近を選ぶ為の夜会ではあるが、既にそのメンバーはほぼ内定している。
選ぶ、というよりお披露目に近いこの夜会は、令嬢達からすれば玉の輿に乗るための出会いの場でもあって。


“それ即ち、乙女の戦場――!!”


「私が必ずディーデリック様をお守り申し上げますわッ!!」
「わぁ、心強いなぁ」

くすくすと笑っているディーデリック様の、その緊張感のない様子に脱力しかけた私だったのだが⋯


「ッ!?」
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