王家の影はポンコツ令嬢!はじめての任務で×××
慌てながら私の両手をぎゅっと握るディーデリック様。
握るというより『掴む』に近いが、一応くるりと体を回転させているのでダンスに見えなくもない、だろう。

“少々優雅さに欠けますが仕方ありませんわ⋯っ!”



「さぁさぁさぁ!私の代わりに倒れてくださいませ~っ!?」
「待って待って待って!?うわぁ、殿下がざまあみろって顔してるから一回落ち着こうクリスティナァァア!?」


物理はダメぇ!という叫びが響きわちゃわちゃとしだした私達だったが、曲が終わった事による喧騒に上手く紛れたらしく彼と共にホールから脱出した。


「⋯感謝します、殿下。阻害魔法が無ければどうなっていたか」
「いや、こちらこそアイツがすまない、妹君が訴える時はいつでも証言台に立つからな⋯」



――なんて、殿下と兄が項垂れている事を知らない私達は、そっと近くの休憩室へ入る。
バタンと閉じられた扉を見た私は、完全に二人きりだという状況にやっと安堵した私からくすりと小さな笑みが溢れた。


「――っ、くっくっく、やりましたわ!やりましたわぁ~っはっは!やり遂げましたわ!」
「そっかぁ、やり遂げたかぁ」
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